小児起立性調節障害の全人医療
起立性調節障害相談室(Q&Aコーナー)

企画・監修:田中 英高
(大阪医科大学小児科准教授)
企画協力:松島 礼子
(済生会吹田病院小児科)

子どものこんな症状は、起立性調節障害

起立性調節障害 ( OD : Orthostatic Dysregulation ) とは?
もしも、子どもにこんな症状があったら・・・
  • 朝起き不良などの起立失調症状
  • 全身倦怠感
  • 立ちくらみ
  • 動悸
  • 食欲不振
  • 集中力低下
  • 頭痛・立っていると気分が悪くなる
  • 気分不良
  • 睡眠障害
  • 失神発作
  • イライラ感

小学校高学年から中学生の思春期前後の子供が、朝起きの悪さ、たちくらみ、頭痛、腹痛、
全身倦怠などの身体不調を訴えて小児科を繰り返し受診することがあります。

しかし一般的な診察や血液検査では該当する異常を認めない場合、多くは起立性調節障害(OD)と診断されます。ODの診断基準を表1に示します。
起立性調節障害は、思春期で最も起こりやすい疾患の一つであり、頻度は約5〜10%と大変に多いものです。

ODの子どもは、朝起きが悪く、なかなか起きません。一日中ごろごろして、夕方になって元気になり、逆に夜には寝付けません。学校を欠席したり引きこもりがちになるので、最近、注目されています。
ODの診断基準(表1)
大症状 小症状
  • A. 立ちくらみ、あるいは目まいを起こしやすい
a. 顔色が青白い
  • B. 立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる
b. 食欲不振
  • C. 入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
c. 臍疝痛をときどき訴える
  • D. 少し動くと動悸あるいは息切れがする
d. 倦怠あるいは疲れやすい
  • E. 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
e. 頭痛
【判定】
大症状が3つか大症状2+小症状1、または大症状1+小症状3以上で、器質性の心臓病や貧血などがなければ、ODと診断する。
A〜E、a〜fには、「しばしば」「ときどき」「たまに」の指標がそれぞれ規定されており、それに従って陽性かどうかを判定する。
f. 乗り物に酔いやすい
g. 起立試験脈圧狭小化16mmHg以上
h. 同収縮期圧低下21mmHg以上
i. 同脈拍数増加1分間21以上
  • j. 同立位心電図のTIIの0.2mV以上の減高その他の変化
このような症状を訴える子どもたちに小児科医が関心を寄せるようになったのは
1960年代のことです。
しかし、ODの増加が問題とされながらも、科学的な検査値として確かめる方法が
いささか不十分でした。

90年代になって起立直後の数秒間の血圧を測定する検査機器が開発され、
目まいや立ちくらみを起こしているとき、あるいは疲労感の身体機能の異変を客観的に
評価することができるようになりました。
その結果、一人ひとりの子どもに合った診断と治療が可能になりました。
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OD症状の頻度

小学校・中学校(885名):「はい」「ときどき」と回答した%
【図1】は我々が885名の小中学生を対象にしたアンケート調査の結果です。

これによると、「朝起きが悪く、午前中調子が悪い」に対して「はい」または「ときどき」と答えた子どもは、小学生で45%以上、中学生では60%前後もいます。

「立ちくらみやめまい」があると答えた子どもは、小学生で約25%、中学生で約45%にも上ります。
「立っていると気分が悪くなる」と答えた子どもは小学3〜4年生では約10%にすぎませんが、
中学2年では約30%います。これらの症状はとりわけ中学生に多いことがわかります。
ODの陽性率
日本学校保健会の「児童生徒の健康状態サーベイランス」のODの調査【図2】でも、中学生や高校生に多い結果となっています。

しかし、これらの症状は大人になると治ることが多く、軽いODは思春期の発達段階に特有の生理的反応で病的なものではないと考えられています。

また、男女差では小中高を通して女子に多く、平成6年度と12年度の比較では、
12年度のほうが多くなっていて、ODが増加していることがうかがえます。
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